星の王子さま大人になっても
忘れず大切にしたいこと

2019.09.05

砂漠のキツネやバラの花。
繊細で独創的な挿絵も心に残る

『おとなは、だれも、はじめは子どもだった。しかし、そのことを忘れずにいるおとなは、いくらもいない』ー。そんな冒頭ではじまる作品は、「ほんとうのこと」しか知りたがらない純粋な星の王子さまを通して、幸せの本質を描いた不朽の名作。サン=テグジュペリの美しい原文のリズムを、見事なまでに日本語に移し替えた内藤濯の名訳も有名。家ほどの大きさしかない小惑星B612。そこに住む星の王子さまは、心の底から愛していた1輪のバラの気難しさに愛想がつき故郷の星を後にする。さまざまな星を冒険して目にしたのは権力や財力、うぬぼれなどの愚かさで真実を見失った大人たち。そして、7番目に辿り着いた地球で王子さまの前に現れたキツネとの対話で悟ったのは、愛情は絆や時間で育まれること、そして肝心なことは目に見えないということ。そこで自分の星に置いて来た1輪のバラへの熱い想いが蘇り…。初版以来、数々の言葉に翻訳され、世代を超えて読み継がれてきた物語は、大人になってから改めて読むのもおすすめ。秋の夜長を愉しみながら自分の心や「大切なもの」と向き合うのにぴったりな1冊。

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星の王子さま

著:サン=テグジュペリ
訳:内藤 濯
出版:岩波文庫
価格:640円(税抜)

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